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ドイツ鉄道 電車 ブログトップ

ICE 3 Redesign [ドイツ鉄道 電車]

 ドイツを代表する高速列車ICE 3は2000年6月にHannoverで開催された万博輸送で営業運転を開始した。現在は2002年開業に高速新線SFS Köln-Rhein/Mainを経由する列車を中心に、最高300km/hでの営業運転を行っている。流麗なスタイルと洗練されたデザインは現在も全く古さを感じさせないが、登場して17年が経過し、各所に傷みがみられてきたのも事実である。
 ドイツ鉄道は2005年にICE 1でRedesignと呼ばれる更新工事を開始し、以後ICE 2やICE-T (1次車)に対する更新工事をニュルンベルク工場で継続してきた。そして、2016年よりICE 3の更新が開始され、3月7日に更新車両の登場がプレス発表された。3月25日時点では403形3編成 (Tz 302 „Hansastadt Lübeck“, Tz 323 „Schaffhausen“, Tz 328 „Aachen“)の更新工事が完成しており、Tz 323は新たに搭載した信号システムEuropean Train Control System (ETCS)の試験に用いられているものの、3月22日にTz 302がICE 612 (München – Stuttgart – Dortmund) / ICE 611 (Dortmund – Stuttgart - München)で営業運転を開始し、続いてTz 328も営業運転に就いている。今後も3週間に1編成の割合で更新工事が進められる予定である。

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 ICE 3はDüsseldorfで最も見かけるICEということもあり、私にとってはHamburg – Münchenで試験的な営業運転を行っているICE 4以上に、ICE 3のRedesignは大きなニュースである。早速ドイツの掲示板の情報を元に、3月23・24日夕方にDüsseldorf HbfでICE 3の更新車を待ったが、運用変更でもあったのか、やって来たのはいずれも未更新車であった。しかし、25日にようやく更新車に乗ることができたので、その詳細を紹介したい。

【更新工事の概要】
 ドイツ鉄道は2.1億ユーロを投じ、2020年までにニュルンベルク工場でICE 3の全66編成 (403形50編成、406形16編成)の更新工事を行う。更新工事の主眼は客室設備をリフレッシュし、ICE 4を元にサービスレベルを引き上げることである。さらに、2017年末より高速新線Nürnberg–Erfurtを経由して、Berlin – München間を4時間以内で結ぶICEに投入されることから、ETCSも搭載される。

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【客室内】
 客室内の最も大きな変化は、座席がICE 4と同様なものに変更され、座席番号や予約表示もこれまでの荷物棚下から座席横に移された点である。1等席には読書灯も設けられている。個人的には荷棚下に表示した方が自然なように感じていた。しかし、本日乗車した未更新車で年配の乗客がかなり目を近づけて座席番号を確認しており!座席に表示する方式の方が好ましいのかもしれない。
 なお、1等車のコンパートメントは残されているが、1両のみにあった2等コンパートメントはオープン座席となっていた。

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1等車

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1等車

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1等車

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1等車

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1等車コンパートメント

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2等車

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2等車

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2等車

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2等車

 ICE 3の課題の一つは荷物置き場が不足していた点があげられる。デッキなどに大きな荷物が置かれて乗降の妨げとなることも珍しくなかったが、今回客室内に荷物棚が増設され、乗客から荷物に目が届きやすいように配慮されている。

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1等車

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1等車

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2等車

 これまでICE 3では客室端上部に設けられた赤字のLED表示で各種情報が提供されていた。デザインは非常に美しいものであったが、遠い席から確認するには難があり、また情報提供量にも限界があった。これに代わって、更新車では客室内に複数のカラー液晶モニターが設けられ、走行位置情報、遅延状況に合わせた最新の乗り換え案内、速度表示など乗客への情報提供の充実が図られている。デッキに設けられていた情報案内表示も、カラー液晶に変更された。また、1等コンパートメントにも新たにカラー液晶が設けられた。

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 両運転室後部に設けられているラウンジにも今回からカラー液晶モニターが設けられ、1列目には折り畳み式のテーブルが設置された。また、これまで2・3列目の座席は展望を考慮して嵩上げされていたが、更新車では嵩上げはなされていない。

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1等ラウンジ

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1等ラウンジ

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1等ラウンジ

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2等ラウンジ

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2等ラウンジ

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2等ラウンジ

 ICE 3の食堂車は、登場時はICE 1やICE 2と同様に“BordRestaurant“として中央の厨房を境に、24席のレストランと販売カウンター・立席スペースに分かれていたが、2002年に定員を増加させる目的で、レストランはテーブル付2等席12席(一次車。二次車は後に2等席16席で登場) と立席スペースに変更され、“BordBistro“と改称された。しかし、実際にはこの部分の2等席はレストランとして営業されており、“BordRestaurant“と同様の食事メニューが提供されていた。一方で追設された立席部分はあまり利用されていなかった。今回の更新では、“BordRetaurant“に再び改称され、20席を要するレストランとなり、供食体制の充実が図られている。

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 子供連れ用個室が新たなデザインとなった他、車椅子スペースが1席から2席に増え、高さの調整が可能なテーブルが設けられた。

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 乗客のオリエンテーションがつきやすいように車両内外のピクトグラムも改良されており、視覚障害者にも配慮されている。トイレは大きな変更はないが、ICE 4と同様に花のイラストが貼られてた。

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 全体としてはICE 3の良い意味での個性は残しつつアップデートされており、好感が持てる更新内容である。

【車両外観】
 車両外観の変化は小さいが、ICE 4と同様に、各種ピクトグラムが増えたのが目立つ他、食堂車側面には“BordRestaurant“の表記が復活した。行先表示のLEDは橙色となり、視認性の向上が図られている。また編成に付けられた都市名の表記は、これまでの編成両端の側扉横から、先頭車の中間寄りに移された。

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【旅行記】
 3月23日、Web上の情報で25日にICE 3の更新車がICE 798 (München -Dortmund)およびICE 795 (Dortmund – München)に運用される予定であることを知った。そこで、早速ICE 798の乗車券を確保した。

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 25日、Düsseldorf Hbfを8時20分に発車するICE 509に乗った。29号車1等ラウンジ席を予約していたが、今朝は編成が逆になり、21号車が先頭、29号車はもう一つの編成と連結する中間となっていた。21号車はAIRail Service用の席となっていたこともあり、テーブル付きの1等席でゆっくりと過ごすことにした。Köln Messe/Deutzでまとまった乗車があり、1等席も半分程の席が埋まった。ICE 509はここからフランクフルト空港までノンストップの速達便、高速新線に入ると順調に飛ばす。シートサービスで注文したコーヒーを飲みながら車窓風景を眺めるうちに、列車は定刻の9時34分にFrankfurt Main Flughafen Fernbahnhofに到着した。

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 駅に併設されたスーパーに立ち寄った後、発着するICEを撮影して、しばらく時間をつぶす。

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 10時09分にICE 202がKöln Hbfへ向けて発車すると、しばらくしてICE 798の接近を告げる構内放送が入った。待つことしばし、早着気味に入線してきたのは期待通り、更新車Tz 328編成“Aachen“であった。車両は塗装され直したばかりでピカピカで美しい、これだけ綺麗なICE 3を見たのは初めてである。

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 今回は1等ラウンジの2列目の席を予約していた。車内はなかなか混んでおり、私の隣を除けば、ラウンジ内の全ての席は埋まっている。車内探検は空いてから行うこととし、まずは自席で寛ぎつつ、前面からの展望を楽しむことにする。せっかくのラウンジとはいえ、運転席との間のガラス仕切りはスモーク状態とされていることも多いが、今日は幸いにも透明となっている。
 10時25分定刻に発車した列車は高速新線を快調に加速していく。目の前の液晶モニターでリアルタイムに速度を確認できるのが楽しい。列車は、最初は200~250km/hと抑え気味に走っていたが、しばらくして加速し、300km/hに達した。Limburg Süd・Montabauerといった中間駅も通過し、一時120km/h程で徐行したものの、概ね最高300km/hで快調に走った。

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 Siegburg/Bonnを通過すると、最高200km/hの改良新線区間となる。車掌が回ってきて検札を済ませたところで席を立ち、食堂車へ向かう。昼食にはまだ少し早い時間ということもあってか、幸いにもレストランは空いており、先客は二人だけである。すぐにウエイターが来たので、ビールとスモークサーモンサラダを注文する。
 列車は徐行の影響か、やや遅れ気味でKöln Messe/Deutz駅に着き、かなりの乗客が下車した。慌ただしく発車した頃、生ビール、さらにサラダが届く。行動しやすいように先に会計を済ませたら、車窓を眺めながらゆっくり昼食。ドイツの鉄道旅行の楽しみの一つは車内でのビール (+ワイン)と食事である。

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 ここまで、ほぼ順調に走ってきたが、Düsseldorfが近づくと、列車は一時停止した。3月初旬から、Köln - Düsseldorf Hbf - Düsseldorf Flughafenの区間では大規模な工事が行われており、多くの列車に遅延が生じている。ICE 798もDüsseldorf Hbfの手前でしばらく停車し、結局10分以上遅れての到着となった。

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 2等車を見ながら最後部の21号車のラウンジ席に移動する。Düsseldorf HbfとDüsseldorf Flughafenの間は普段ICE・IC・一部のREが走る路線で路盤工事が行われており、REやS-Bahnには運休や運転区間短縮、ICEやICには迂回や運転時間の変更が生じている。慌ただしくDüsseldorf Hbfを発車したICE 798だが、徐行や一時停止を強いられ、結局Duisburg Hbfには17分遅れの12時06分に到着した。
 Duisburg Hbfを発車したところでゆっくり前方に移動、再び1等車へ。列車はルール川を渡り、Mühlheimを通過してEssen Hbfに停車する。車内の大半が空席になったので、車内の写真を撮りながら1等ラウンジに戻る。Bochum Hbfまでの区間は前面展望を楽しむ。Bochum Hbfを発車したところで、食堂車に向かうと客は誰もおらず、ウエイターがレストランで売り上げの計算をしていた。撮影の許可を撮ると、どこから来たの?と尋ねられ、しばし会話。そうこうするうちに列車はラストスパート。Dortmund Hbfには遅れを少しだけ取り戻し、15分遅れの12時45分に到着した。
 基地へと引き上げるICEを撮影した後は手持ち無沙汰になる。Webでの情報によると、Tz 328編成は15時25分発ICE 795で折り返す予定だが、それまでは間がある。写真もある程度撮れたので、このまま帰っても良い気もしたが、天気がとても良くて暖かいこともあり、ホームの端で発着する列車を撮影しつつ、日向ぼっこをしながら待つことにした。

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 15時過ぎ、ICE 3が車両基地からゆっくりと近づいてきた。遠くで一時停車し、REやICEを先行させた後、15時15分にゆっくりとMünchen Hbf行ICE 795が入線。こちらもWeb情報通り、先程のTz 328編成であった。反対ホームで写真を撮った後、ICE 795に乗車する。

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 車内は空いており、2等ラウンジに座る。15時25分に発車した列車は最高150km/h程でBochum Hbf・Essen Hbfと停車しながら西へ向かい、Duisburg Hbfにもほぼ定刻の16時04分に着く。途中Mühlheim付近では、今や貴重な存在のLudmillaの姿が見られた。健在なのは嬉しい限りである。

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 Duisburgからの複々線では本来のICE/IC/RE(一部)用の路線ではなく、S-Bahnが走る路線を走る。そのためか、やや速度は抑え気味である。Düsseldorf Flughafenの手前で一時停止し、その後は徐行気味に進む。閉鎖されている路線では枕木や線路の交換工事が進められている、4月初旬には終了する予定とのことで、今の状況が改善されるのが待ち遠しい。Düsseldorf Hbfの手前でも一時停止と徐行を強いられ、結局Düsseldorf Hbfには5分遅れの16時24分に到着した。

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 ICE 3の未更新車と更新車を乗り継いだ旅。ICE 3ならではの個性や魅力が薄れてしまったのではないかと懸念していたが、幸いにもそれは杞憂であった。むしろ、客室設備が現在のレベルに合わせてアップデートされ、食堂車の充実が図られたことは嬉しい変化である。ドイツ鉄道は今後さらに15年以上のICE 3の使用を見込んでいるという。15年と言わず、末永く活躍してほしいものである。

ICE 4 - Der neue ICE-Zug [ドイツ鉄道 電車]

 2011年、DBはIC/ECの客車列車・ICE 1・ICE 2を置き換えるため、新型高速列車ICxをSiemensに発注した。ICxは今後の長距離輸送の標準車両として位置づけられ、現在までに130編成が発注されて、最終的には300編成を導入することも計画されている。ICxは2015年以降ICE 4と呼称されるようになり、形式は412形 (付随車は812形)とされ、7両編成と12両編成の2種が製作する予定である。

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 ICE 4ではICE 3と同様の動力分散式が採用されているが、動力車1両に変圧器・変換器・コンバーター・主電動機を集中して配置するPowercar conceptが採用され、路線事情に合わせたフレシキブルな編成を組むことを可能とした。車体は先頭車28.6m、中間車27.9mと従来の25mに比べ延長され、出入り口や機器を減らすことで車内空間を拡大させることで定員を増加させた。なお、ICE 4の7両編成の全長は、ICE 3の8両編成に相当する200m、12両編成は345.7mである。動力台車はICE 3で採用されたSF 500の改良型であるが、付随台車はインサイドフレームとなり大幅な軽量化に成功している。インテリアもICE 3以来のコンセプトをベースにしながらも、様々な新しい試みがなされている。最高速度は12両バージョンで250km/h、7両バージョンで230km/hに抑えられているが、加速性能に優れているため、最高250km/hでも最高280km/hのICE 1やICE 2と同様のダイヤでの運転が可能である。中規模の都市が林立し、停車駅の多いドイツの事情に合わせ、経済性を重視して製作された高速列車と言えよう。
 ICE 4は主にSiemensのErlangenおよびKrefeld-Uerdingen工場で2014年より製造が進められており、2015年9月から試運転が開始され、12月4日にはじめて報道公開された。その後も試運転が進められ、2016年9月16日にEBAから旅客営業が認可された。その2日前の9月14日にはBrerlin Hbfの地下ホーム2番線で華々しく公開されている。ICE 4の正式デビューは2017年12月に予定されているが、その前に試験的に営業運転にも投入されることとなった。
 ICE 4の試験的な営業運転の詳細について、DBからの公式なアナウンスはないが、インターネット上での情報では10月24日よりHamburg-Altona - München Hbfを結ぶICE 581 (木曜を除く毎日)、ICE 582 (毎日)、ICE 786 (水曜を除く毎日)、ICE 787 (毎日)に投入されるとのことであった。10月24日以降もICE 4が営業運転に就いたとの情報はなかったが、10月31日に上記の列車で営業運転が開始された。(ただし、今後もICE 1に変更される可能性はある。)
 ICE 4が営業運転を開始したとのことで、11月1日の祝日を利用して早速乗車することとした。祝日といってもドイツは週によって祝日が分けられることがあり、当日も一部の州のみが祝日とされていたため、DBは平日ダイヤであった。早朝5時半に起きて、まずはHamburgへの速達列車である6時39分発IC 1098に乗車するべく、Düsseldorf Hbfに向かう。しかし、DBのホームページを確認すると、車両故障によりIC 2902に列車が変更されていた。ただし、同じダイヤで走るとのことで一安心である。定刻に入線してきたのは何とICE-Tの7両編成。寄せ集めのボロ客車編成が来ることを想像していたが、逆にアップグレードされた形となった。
 列車はDuisburg Hbf・Essen Hbfと停車した後、2時間40分以上をノンストップで走り、Hamburg Hbfへ向かう。発車した頃は、外は真っ暗であったが、Essenが近づくころにはかなり明るくなる。直前の6時33分にDüsseldorf Hbfを発車したHamburg経由Kiel行のIC 2224がDortmund・Műnster・Osnabűck・Bremenなどの主要都市を丁寧に停車していくのに対し、こちらはGelsenkirchen・Osnabrückと直線的なルートを取って先行し、定刻よりわずかに遅れた9時50分にHamburg Hbfに到着した。

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 ホームからコンコースに上がり、14番線に入線してくるICE 787を待つ。私以外にも一人、鉄道ファンが入線を待ち構えている。程なくして現れた列車は期待通りのICE 4、12両編成のTz 9006編成である。すぐに階段を下り、私も乗車する。今回は1等のチケットを買ってあったが、まずは2等車から車内の様子を見て回ることにする。

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 12両バージョンのICE 4の編成は先頭から以下の通りで、定員は830名 (1等205名、食堂車23名)である。
0812.0形 (制御車・1等・14号車)
1812.0形 (付随車・1等・12号車)
1412.0形 (動力車・1等・11号車)
8812.0形 (付随車・食堂車 Bordrestaurant・10号車)
6412.0形 (動力車・2等/サービス車・9号車)
9812.0形 (付随車・2等・7号車)
2412.0形 (動力車・2等・6号車)
2412.3形 (動力車・2等・5号車)
4812.0形 (付随車・2等・4号車)
2412.5形 (動力車・2等・3号車)
2412.8形 (動力車・2等・2号車)
5812.0形 (制御車・2等・1号車)

 ICE 4は車体長が延長されたため、各車両端部は絞られており、結果的に出入り口とプラットホームとの間隔が広がっているが、ステップがその分自動的に展開されるため、特に乗車しにくいというわけではない。行先表示はVelaro Dと同様、乗降扉に設けられている。これは乗客には見やすいであろう。デッキ部分もVelaro Dに近い印象で、木目調であるが、曲線が多用されたICE 3 / ICE-Tに比べ直線的なデザインで、高級感には乏しい。

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 客室に入って、まず気が付くのは、車体が長いため客室が広く感じられることである。車内レイアウトは基本的にはオープン客室のみであるが、テーブル付の座席も少なくない。またDBがPRしている通り、各所に荷物棚が設置されている。座席で目立つのは、席番と予約表示が窓上や網棚のではなく、座席に設けられた点である。従来の表示に慣れている客が多いのか、座席表示が目に入らず戸惑う乗客の姿もあったが、視認性という点では座席に付いている方が優れている可能性もあり、優劣はつけ難い。

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 7号車はサービスカーで、2等席の他、車椅子対応席や身障者対応トイレ、さらに子供連れ用個室やインフォメーションなどが設けられている。これらの設備は従来に比べ広々としており、好感が持てるところである。その隣の9号車はBordRestaurantであるが、売店部分は混雑しており、レストランも満席の盛況で、後で改めて見ることにする。

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 11・12・14号車の3両が1等車である。1等車も2等車と同様にコンパートメントはないが、テーブル席や荷物棚は幾つか設けられている。席番と予約表示が座席に設置されているのも共通している。12号車のテーブル付の席に腰を下ろす。座り心地はこれまでと同様で、上々と言えよう。1等席には新たに読書用が設けられているのも便利である。もちろん、各席にはコンセントも用意されている。

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 やや遅れてHamburg Hbfを発車したICE 787はHamburg-Harburgに停車した後、在来線を最高200km/hでHannoverへ向かう。走行音は明らかに静かになっており、揺れも少ない。客室内は壁の白味が強くなり、照明とあいまって、ICE 3やICE-Tに比べると高級感に乏しい印象も受けるが、十分に落ち着く快適な環境ではある。
 車掌が検札を終えた後、飲み物の注文の配達に忙しく動き回っている。DBの職員も何人か乗り合わせているのは、如何にも試験的な営業運転らしい点である。車内を見て回っている鉄道ファンの姿も見かけるが、新しい車両の旅を楽しんでいるという風情で、落ち着いた雰囲気である。
 ここでBordRestaurantに向かう。ビストロ部分は朝からビールを楽しむ客があふれている。カウンターは曲線的なデザインになりショーケースも設けられ、開放的で好感が持てるが、この日は紙でショーケース内は隠されていた。次々と乗客が現れては、飲み物や軽食を買っており、係員が対応に追われていた。定員23名のレストランも満席で、やはり朝からビールを飲む乗客の姿が目立つ。座席の色調などが変わり、以前より軽快な雰囲気である。本当は何か飲みたかったのだが、この混雑で諦め、自席に戻る。

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 トイレにも触れておこう。ICE 3ではトイレは通路の片側に設けられていたが、ICE 4では通路を挟んで両側に設けられた。その分、トイレはかなり狭くなっているが、通常通り使用する分には充分であった。鏡に花のシールが貼ってあるのはご愛敬。

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 列車は順調に走り、定刻の11時21分にHannover Hbfに到着する。5分ほどの停車時間を利用して、車外へ出る。決して評判が良いとは言えない前頭部の直線的なデザインだが、正面に近い角度から見ると、それほど悪くないような気もする。個人的にはVelaro Dよりは好感が持てるが、この辺りは好みもあろう。ただ、万人から好かれそうなデザインとは言えないのは残念なところである。

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 側面に回って、一見して気がつくのは各種サイン類が目立つ点である。黄色で強調された1等表示・席番・サイレント車の表示と賑やかで、視認性も向上している。近鉄特急でも同様の変化がみられたのを記憶しており、親切だと思う。ただし、これ以上サイン類が増えると外観デザインを損い、安っぽい印象を与えかねないのではないか。

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 列車はHannover Hbfを11時26分定刻に発車する。今度は先頭の14号車のテーブルなしの席に座る。こちらも前の座席に設けられたテーブルを使用できる。がたつきもないが、いろいろと作業するには小さ過ぎるかもしれない。

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 しばらく走ったところで、列車は急に減速し、ついに停止してしまった。10分程で再び動き出し、車掌から12分遅延しており、列車の接続については停車駅が近づいたら案内するとの放送が入ったが、原因は分からず仕舞であった。他の列車を待ったのか、あるいは技術的なトラブルでもあったのであろうか。
 幸いにも列車は高速新線を250km/h近い速度で順調に走る。インサイドフレーム台車を履く付随車も乗り心地は安定感があり良好である。結局、遅延を7分まで縮め、Göttingenには12時07分に到着した。

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 Göttingenを出発すると、鋭い加速でスピードに乗り、再び250km/hで高速新線を快調に走る。トンネルをいくつか潜るか耳ツンもない。ところどころで並行する在来線に貨物列車が行きかっているのが見える。減速すると、まもなくKassel-Wilhelmshöheに7分遅れの12時28分に到着する。私はここで下車する。

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 ICE 4の全体的な印象としては、ICE 3やICE-Tでみられたような品質感は感じられない点は残念であったが、静かで揺れも少なく、車内設備の随所に配慮がみられて快適であり、印象は上々であった。いわば普段着のような、日常使う列車としては、好感の持てる車両であった。

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 駅では2、3人の鉄道ファンが写真を撮っていた。新しい車両が走り始めたら、日本なら多くのファンが駆けつけそうだが、ここではそのような喧騒はなく、ICE 4の発車をゆっくり眺めることが出来た。



 撮影中の鉄道ファンに機関車の接近を教えてもらいながら待つことしばし、ICE 75は10分遅れで到着した。

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 この列車はICE 1で運転されている。本来はChur行であるが、本日はBasel SB止まりとなると案内されている。本当は食堂車で昼食を摂るつもりで2等席を摂っていたが、残念ながら満席。2等席も混んでいる様子であったが、幸いにもビストロ部で空席が出て、座ることが出来た。ビールと共に、Linsen-Orangen-Suppeというオレンジ味の効いたスープとフォカッチャで簡単な昼食とする。ICEの車内で飲むビールはいつも格別である。

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 ICE 75はFrankfurt (M) Hbfまでノンストップである。順調に走行し、Fuldaから在来線へ入って南西へと駆けるが、結局10分遅れのままである。実はFrankfurt (M) Hbfでは10分乗り換えなのだが、間に合わなければ次の列車に乗るだけのこと、焦っても仕方がない。とはいえ、Haunauを通過したところで最前部に移動しておく。乗り換えられるなら、それに越したことはない。結局Frankfurt (M) Hbfには10分遅れのまま、14時10分に着く。
 乗車予定のICE 720は幸いにも他のICEの接続待ちで数分遅れて発車したため、無事に乗車することができた。客室内に一歩足を踏み入れて、やはり車内の雰囲気、特に品疾患においてはICE 3の方が上であることを改めて感じる。
 予約してあった先頭ラウンジ席に座る。Frankfurt Flughafen Fernbahnhofを過ぎると、最高300m/hの高速新線に入る。美しい紅葉の中を駆け抜ける前面展望は格別である。ICE 720はICE Sprinterと呼ばれる速達列車、高速新線を降りてKöln Messe/Deutzのみ停車し、Düsseldorf Hbfには定刻の15時36分に到着した。

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DB Baureihe 420 [ドイツ鉄道 電車]

3~6歳までの4年弱のドイツ生活で私の記憶に明確に残っている鉄道車両は103、111、112、403、そして420形である。私が住んでいたEssenのS-Bahnにこの420形が使用されており、オーソドックな愛嬌のある外観は私の好みであったが、そのうちに111形+x-Wagenに置き換えられ、420形は転出したため、実車を見ることはなくなった。しかし、420形は当時ドイツの切手の図柄となっており、いつも切手でみかける420形には強い愛着を抱いたものである。
420形は日本の鉄道ファンにもなかなか人気があるようだ。ICEが停車する長距離駅が完成した現在では様相はかなり異なるが、ちょっと前まではドイツの玄関フランクフルト空港に到着し、最初に目にする車両といえば、まず420形だったのである。遠方からの旅行客にとって、ドイツ鉄道を象徴する存在の一つなのかもしれない。

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私が420形に久しぶりに再会したのは、2005年の旅行の際に、Duesseldorf Hbfで見かけた時だった。この時は遠くから眺めただけだったが、2007年の旅行の際には何度も乗車した。特に印象的だったにはS-Bahn Stuttgartでの活躍ぶりである。新鋭423形より数も圧倒的に多く、Stuttgart Hbfに2~3ユニット連結して次々と発着する様は頼もしい限りであった。そして地下駅に響き渡る走行音も実に良かった。
420形の優しい顔付きはどの塗装にもよく似合う。同世代の車両の中でも、現在のVerkehrsrot塗装にこれだけ良くなじんでいる車両は思い浮かばない。
車内はシンプルそのもの、向かい合わせ式のにボックスシートが並ぶだけである。冷房装置はないから天井もすっきりしている。そして、いつも肌にまとわりつくような?腐ったような?カビ臭い?どんな表現を取るにせよ、決して良い表現にはならない、不快な臭気が漂っているのである。しかし、そんな体験も、420形の旅を印象的なものにしているのも疑いないところであろう。

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420形の近況は以前にまとめたの詳細は省く。引退が近いのは動かしようのない事実だし、実際Essenで廃車となった420形達を見たときは何とも言えない寂しさを感じた。しかし、Stuttgart、Frankfurt/Mではまだまだ元気に活躍している。ドイツに行く機会があれば、改めてその姿を記録したいと思う。
ところで、何故今日420形を取り上げたのか・・・・それは・・・・・またの機会ということにさせて頂こう。


S-Bahnの世代交代~見えてきた420形の引退
http://rig-bahn.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300365620-1

420形 / RiG
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-420.htm

S-Bahnの世代交代~見えてきた420形の引退 [ドイツ鉄道 電車]

ドイツ大都市の住民の足、S-Bahnで世代交代が進んでいる。1970年代からS-Bahnの中心として活躍してきた420形はMuenchen、Frankfurt/M、Stuttgartと、観光客が訪れる機会の多い大都市で活躍してきただけに、我々にも馴染み深い形式である。際立った特徴があるわけではなく、デザインも車内設備もシンプルにまとめられているが、それが親しみやすさを生んでいるのかもしれない。しかし、その420形の活躍がいよいよ狭まってきた。そこで、420形の現状と将来を、地域別にまとめてみたい。

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●S-Bahn Muenchen
420形の後継車、423形はMuenchen地区に優先的に投入され、2004年12月を以て420形は引退し、423形に統一された。ただし、420 001編成がライトグレー地にオレンジ色のS-Bahn塗装で美しく動態保存されており、イベントなどで活躍する姿が見られる。

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S-Bahn Muenchenの主役423形


●S-Bahn Stuttgart
Stuttgartにも423形が投入されたが、編成数としては420形の方が多いこともあり、現在も420形が中心的な存在である。更新車ET420PLUSも登場し、当面、420形の活躍が続くものと思われたが、更新車は2編成が登場したのみであり、今月5日にDBとBombardier/Alstomから、S-Bahn Stuttgart用の新型車両が発注されたことが発表された。
新型車両は430形を名乗り、422形の改良型で、83編成が導入される。4車体連接構造で、1車体辺り片側3扉は423形と同様である。納入は2002年2月から12月の間に行われる予定で、420形が一気に置き換えられることになりそうである。

Bombardier プレスリリース
完成予想図を見ると、430形は正面の前照灯周囲の処理に特徴がある。現在発注されているICE 3の改良型でも感じたが、このようなスタイリングが流行しているのであろうか。


●S-Bahn Rhein-Ruhr
現状で、420形が最後まで残りそうなのはこの地域である。数では87編成を数える423形にかなわないものの、420形も約60編成が残存しており、行先表示やライトのLED化など近代化工事も行われている。他地域と異なり、後継車両も未だに発注されておらず、向こう数年間は安泰であろう。


●S-Bahn Rhein-Ruhr
ドイツ有数のS-Bahnネットワークを誇るルール地方では、長らく客車編成のS-Bahnが活躍してきた。これらの客車は以前に紹介した。
S-Bahn x-Wagen

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423形も投入されたがこの地域での活躍は限定的であり、車両不足を補うため2004年からは420形転入してきたが、客車編成が大多数を占める状況は変わらなかった。しかし、2008年11月から営業運転を開始した422形は、客車編成と420形を全て置き換えるべく、現在大量増備が行われており、2011年末までに116編成が導入される予定である。すでに422形は30編成を数え、活躍の範囲を急速に広げている。(422形は近々RiGで正式に紹介する。)
S-Bahn Rhein-Ruhrが422形と423形に統一される日は近い。


以上、S-Bahnの世代交代の現状を概観した。老朽化の隠せない420形の交代は一般的には喜ばれるだろう。しかし、私がドイツに住んでいた頃は420形が切手の図案であり、ともするとユーモラスにも見える顔に何ともいえない親しみを覚えたものである。その420形の引退がいよいよ迫り、寂しい限りである。


420形 / RiG
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-420.htm
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DB Baureihe 403/406 / ICE 3 (2) [ドイツ鉄道 電車]

1998年夏頃から試運転中のICTの写真を雑誌などで見かけるようになった。丸みを帯びた美しいスタイルは新時代の到来を思わせた。こうなると、ICE 2.2の登場がますます楽しみになる。ICE 2.2は何時の間にかICE 3と呼ばれるようになり、1998年10月にBerlinで開催されるEurailspeedに登場予定とのことであった。
10月が近付くにつれ待ち切れなくなり、ICE 3の写真がどこかに掲載されていないか、いろいろなサイトを探して回ったが、ついに見つけられなかった。10月末、Eurailspeedの開催初日に、European Railway ServerについにICE 3の速報写真が掲載された。美しいスタイリング、これまでに高速列車と比べても質の高い内装は期待通りであった。ただ、Eurailspeedでの展示に間に合わせるために突貫工事が行われたため仕上げが終わっていない状態で、ライト周りなどに違和感が残ったことも否めなかった。このときの写真は以下で見られる。
http://www.railfaneurope.net/pix/de/electric/emu/ICE/ICE-3M/Eurailspeed/pix.html

Eurailspeedの後はしばらくICE 3の消息は途絶えた。1999年春から試験運転が開始されたはずであったが、写真もあまり見掛けなかった。しかし、8月に当サイトに多くの写真を提供してくれていたyouさんから、ICE-Tの写真として送って頂いた1枚が、まさにICE 3の試運転中の姿であった。さらに1999年11月号の鉄道ジャーナル誌では南正時氏がICE-Tの乗車レポート共に、ICE 3の試運転の様子を詳細に伝えた。この記事を何度も読み返しては、ICE 3の登場を心待ちにした。
2000年6月、Hannoverで開催されたExpo 2000のための輸送列車として設定されたEXEでICE 3はデビューを飾った。秋からはKoeln - Amsterdam、Hamburg / Bremen – Hannover – MuenchenのICEで本格的にデビュー、路線規格やトラブルがあったため性能をフルに活かした活躍とはいかなかったが、その存在感は大きかった。あとは300km/hでの活躍を待つだけとなった。
2002年8月にICE 3専用のNBS Koeln-Rhein/Mainが開業、ICE 3は暫定的ではあったが、300km/hでの運転を開始した。この際に2等車の定員不足が指摘され、シートピッチを詰めて定員増が図られ、BordRestaurantもBordBistroに改装された。美しいTEE調の食堂車がBistroになったのは残念であった。
12月からの冬ダイヤでICEネットワークが大きく改編され、ICE 3はNBS Koeln-Rhein/Mainを軸に多数の路線に投入され、ドイツ鉄道のフラッグシップとしての地位を確立した。空調の問題なども起こったが、縦横無尽の活躍は頼もしい限りであった。
こうなると、ICE 3に乗りたくなる。その機会に恵まれたのは2005年3月であった。20年ぶりのドイツ旅行、名古屋発のLufthansa機でFrankfurt空港に降り立った私は、長い通路を抜け、開放的な駅舎の長距離駅Frankfurt Flughafen Fernbahnhofに向かった。肌寒い中、ドイツに来た感激を胸にエスカレーターでホームへ降り、Mannheimまで乗るICE 1を待っていた。程なくして、ゆっくり入線してきた列車、20年ぶりのドイツで最初に見た車両がICE 3であった。実際のICE 3は写真以上に美しく、貫録が漂い、夢の鉄道車両が現実に飛び出してきたかのようであった。側扉からのぞき見たデッキは、旅人を温かく迎え入れる上品な空間を形成し、予定を変更してこのICE 3の乗りたくなった。そして、その機会は翌日に訪れた。

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DB Baureihe 403/406 / ICE 3 (1) [ドイツ鉄道 電車]

あけましておめでとうございます。2009年も細く長く、ホームページを続けながら、皆様と鉄道を楽しむことができれば、と思います。どうぞ宜しくお願いします。
それにしてもドイツに行きたいですね。こんな景色が見たいです。
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新年最初の記事はICE 3について書きたい。登場する前、計画段階から登場を楽しみに待った車両は、どうしても愛着が強くなる。その代表が私にとってはICE 3である。
ICE 3のことを初めて知ったのは、鉄道ファン 1996年11月号の記事からであった。当時はドイツ鉄道について特別調べていたわけではなく、まして洋書店でドイツ鉄道関係の本を買うことなどなかった。インターネットもまだ普及し始めたばかりで、我が家にはまだなかった。
鉄道ファンの記事は極めて鮮烈な印象を残した。薄暗い中でスポットライトを浴びる二つのモックアップ、それはICE 2.2 (後のICE 3)とICT (後のICE-T)であった。ドイツでも既にICE 1が活躍していた。ICE 1のスタイルは私好みではあるが、何となくずんぐりしていて一般的に見て格好良いとは言い難く、鉄道雑誌などでもTGVや新幹線の陰に隠れがちであった。ポップなインテリアも、落ち着きがない印象は拭えなかった。しかし、このモックアップはそんなICEの印象を根底から変える魅力があった。

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流麗な外観は、子供の時に抱いた「未来の夢の電車」を思わせるような格好良さ、そしてインテリアは色調がシックで実に上品だった。そして、運転席後部にはラウンジを設けて前面からの展望を楽しむことができる、という記載はすぐには信じられなかった、まさに鉄道ファンには夢のような話ではないか。こんな車両が、片や330km/h、片や振子電車で登場するのだ。本当に凄い電車が登場するものだ、と興奮した。
その時から、私はこのICE 2.2とICTの登場を心待ちにすることとなった。Eschede事故などがあり、ホームページを開設してもどうも明るい気分になれない頃、ICTとICE 2.2はいよいよ登場するのである。
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DB Baureihe 481 Berlin S-Bahn [ドイツ鉄道 電車]

Berlinの新しい繁華街、Potzdamer Platz ポツダム広場。S-Bahnのホームから地上に上がると、正面にはBahn Tower (DB本社)がそびえる。そして、賑わう広場を抜けると、まもなく金色の建物が見える。フィルハーモニーである。私は2005年、2006年とここでベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートを聴く機会に恵まれた。2005年はブルックナー交響曲5番(ティーレマン指揮)、2006年はマーラー交響曲2番(ラトル指揮)、いずれも今でも忘れられない名演であった。そのベルリン・フィルが今日から日本ツアーを行っている。早速、ミューザ川崎シンフォニーホールで、ツアー初日の公演を聴いた。ハイドン交響曲92番、マーラー「リュッケルトの詩による5つの歌」、ベートーヴェン交響曲6番「田園」という曲目、指揮は音楽監督ラトル。感嘆する他ないアンサンブル、美しい音色、特にソロの素晴らしさといったら・・・・、ハイドンの交響曲に目覚め、「田園」ってこんなに素晴らしい曲だったんだと再発見し、心が揺さぶられ続けた2時間であった。

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余韻の残る今夜は、Berlinの顔、Berlin S-Bahnの481形を紹介したい。

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Berlin S-Bahnは直流750kV、第三軌条方式を採用しており、他のDB路線とは独立している。Berlin都市圏に300km以上に及ぶネットワークを形成し、15系統の路線が設定されている。
Berlinの分断の影響もあり、 S-Bahnは近代化から大きく取り残され、1980年代後半に西側が480形、東側が485形をそれぞれ独自に開発したものの、戦前に製作された車齢50年以上の車両も多く残り、1994年4月の段階でも、480形76編成、485形166編成に対し、1928年製の475形が135編成、1936年製の477形が204編成も活躍していた。ドイツ統一後、新生ドイツの首都となったBerlinの都市交通の整備のため、Berlin S-Bahnの近代化は急務であった。そして、旧型車を一斉に置き換えるために大量に増備されたのが481形である。

481形は1993年にまず100編成が発注され、その後も追加発注が続けられ、500編成弱を数えるまでになった。2004年まで製造が続けられたため、担当メーカーもAEG、DWAから合併を経てAdtranz、Bombardierと移り変わっている。先頭車481形と中間車482形を組み合わせたBo-2 + Bo-Boの2両編成が基本的な編成単位で、2編成を中間車同士で連結した4両編成を"Halbzug"(半編成)、このHalnzugを2本つなげた8両編成での運用が基本である。(一部では4両編成の列車も存在する。) この2両編成バージョンは494編成存在するが、このほかに4両貫通編成も3編成製作された。
出力200kWの三相誘導電動機が先頭車に1台、中間車に2台搭載され、編成出力は600kWで、性能上の最高速度は100km/hであるが、運用上は最高80km/hに抑えられている。加速性能は1.0m/s2と、都市電車らしい性能である。車体長1両17,700mmと小振りな車体に片側3扉が設けられ、車内は固定クロスシートが基本だが、車端部はロングシートで、さらに自転車搭載も考慮し一部が折りたたみシートとなっている。座席定員は2両編成で94席、立客定員は200名である。481 001では1等車が設定され、481 002では木製シートが試されたが、現在は2等車のみの設定で、シートは通常のモケット地になっている。

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481形の塗装は、当初はシルバーに正面窓周りや幕板部を青色とした斬新なものが計画されていたが、結局採用されたのは黄色地に正面窓周りや幕板部を赤色としたものであった。しかし、481 225からBerlin S-Bahnの伝統を意識した、車体下部を赤色とした塗装が採用され、旧塗装の車両も順次変更されている。
481形は現在はBerlin-Wannsee (BWSS1)とBerlin-Gruenau (BGAS1)の2車両区に配置され、事故廃車などもなく、全車が元気に活躍している。DBは480形や485形を置き換えるため、481形に改良を加えた新型車両の導入も計画しているが、当面は481形がBerlin S-Bahnの中心選手であることは間違いない。

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革新的な480形に比べ、481形はあまり特徴のない、大人しい顔つきをしている。しかし、Berlinの市民の足を支える縁の下の力持ちには、随分似合っていると思う。伝統のS-Bahn塗装をまとった481形がBerlin中心部の高架線を走る姿は、古さと新しさの混在したBerlinを象徴している。次にドイツに行った際には、この481形に乗ってBerlinの息吹きを感じたいものである。
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DB Baureihe 402 / ICE 2 [ドイツ鉄道 電車]

現在のドイツ鉄道の長距離輸送の中心はICEであることに異論はないだろう。そのICEの中で最も地味な存在なのはICE 2なのではないだろうか。
ICE 2の写真を初めて見たのは鉄道ファンの1995年10月号であった。しかし、動力車の外観はあまり好きにはなれなかった。ICE 1の先頭部はややスカートが大きく、ずんぐりとした印象はあったが、優しい顔立ちは私好みであった。ICE 2は先頭に連結器が設けられた関係でライトの位置がICE 1に比べ高くなっただけなのであるが、目付きが鋭くなったような、そんな違和感があった。ICE 2の営業運転はそれでも興味はあったが、ICE 1程の愛着は感じなかった。

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2005年に20年ぶりにドイツを訪れた際、BerlinからWolfsburgまでICE 2に乗車した。Berlin Spandauからは高速新線に入り、列車は250km/hまでスピードを上げた。しかし、トップスピードになっても動力集中式だけに客室内は静かそのもの、そして揺れが少なく、素晴らしい乗り心地であった。高速走行時に細かい振動が感じられたICE 1とはかなりの差で、本当に驚いた。この時からICE 2の印象が変わった。翌日にはDuesseldorf→Bielefeld、翌々日にはHerford→Duesseldorfとルール地方の中の短距離ながらICE 2を利用し、愛着も感じるようになった。
2006年にはBerlinで何本かのICE 2を目撃した。ベルリン市内の高架線を、2編成併結した長いICE 2がゆっくりと走る姿はまさに王者の貫禄、ドイツの首都の主役であることを感じた。Duesseldorfでビールをしこたま飲んでEssenに戻る際、寝過ごしてBochumまで行ってしまったことがあったが、その時にすぐに入線して来て救ってくれたのが、Berlin発のICE 2であった。帰国する時にはICE 2はすっかり好きな車両になり、程なくして模型を集めることとなった。

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ICE 3は国際運用に対応する必要もあり、車体幅がやや狭く、丸みを帯びている。それに比べると、ICE 2の車体断面は四角に近い。格好良いのは流麗なICE 3だと思うが、貫禄という点ではICE 2に軍配を上げたい。
先頭部は前述の通りスタイリッシュとは言い難い。ICEシリーズの中でも、連結器を優先した、いかにも機能的で、面白みのない顔付きだ。しかし、よく眺めると、なんともユーモラスだ。
Akiraさんによると、先頭動力車と制御客車の車体断面が異なり、担当デザイナーはそれらが共通のイメージとなるように、デザインにはかなり苦労したらしい。この点は、デザイナーの努力が実ったのだろう、動力車も制御客車も前から見ると同様のイメージである。

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車内もICE 2は目立つ点が少ない。ICE 1の特徴であった屋根の高いBordRestaurantは、通常の高さに戻された。客室の色使いも全般にオーソドックスになり、コンパートメントは廃止された。座席の厚さやシートピッチが調整され定員は増えたが、乗客一人一人にとっては、必ずしも望ましい変化ではなかった。
技術的にはICE 1がベースとなっていることは間違いないが、地味ながらも、重要な改良点は少なくない。乗り心地の点でICE 1は難があったが、ICE 2は台車がコイルバネから空気バネに変更されたSF400型台車を履き、乗り心地は大いに改善された。ICE 3のSF500台車も基本設計は同じである。そして、連結機構は以降のICEシリーズに引き継がれ、柔軟な運用を可能にした。

ICE 2にも問題とないわけではない。特に2編成併結時の走行には制約が大きい。先頭動力車同士を連結するとパンタグラフが近づきすぎるため避けられているし、区間によっては制御客車を先頭に走る場合は最高速度が制限される。2編成の併結の向きを常に考慮する必要があるため、運用の柔軟性が削がれてしまっているのだ。
しかし、ICE 1で培われた技術を基に製作されたためか、ICE 2はトラブルが少なく、極めて信頼性が高い。少なくとも運用を離脱するようなトラブルは聞いたことがない。さらに、ICE 1が運用から外れた際には、ICE 1用の先頭動力車401形の代走を、ICE 2用の402形が務めることも少なくない。そう、実に頼もしい存在なのである。

ICE 2は44編成存在する。運用の中心はBerlinとルール地方を結ぶICEである。Berlinから2編成併結で走り、Hammで2本に分かれ、1本はEssen、Duesseldorf経由でKoeln/Bonn空港、もう1本はWuppertal経由でKoelnを目指すのが基本パターンである。1時間間隔で運転されるこの系統は、工業の中心ルール地方とBerlinを結ぶ大幹線で、利用客も多い。それだけでなく、ルール地方域内や、Berlin-Wolfsburgといった短距離の利用客の姿も目立ち、いつも混雑している。この他にもHamburgまたはBremen発の列車がHannoverで連結されMuenchenを目指す系統もある。ICE 2は併解結可能な構造を活かし、ドイツ鉄道の長距離輸送において極めて重要な役割を演じているのである。

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ICE 2は2025年頃までの仕様が見込まれている。今後のICE 2の活躍に期待したい。

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ICE 2
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-ice2.htm
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